のーない会議tatuya

tatuya215.exblog.jp
ブログトップ

カテゴリ:TRPG全般( 11 )


2006年 10月 27日

大宇宙オフ用アクト「コノハナサクヤ」ハンドアウト提出用フォーマット例

 下記が、ハンドアウト提出用フォーマット例です。RLの皆様は、ご確認をお願い致します。
 「■重要ゲスト」など、フォーマット例にない項目がございますが、このように自由に項目を付け加えてもかまいませんが、最低限、お願いした項目は、ご記入ください。

「コノハナサクヤ」

***プレアクト***

■アクトトレーラー
「今年の桜も、美しゅうございますね」

 少女はそう言って、慰めた。

「今年の桜も、赤くないわ」

 少女はそう言って、憾みを呟いた。

「花の命は短くて――」

 命短し、恋せよ少女(おとめ)。

「紅桜に誓って舞いましょう。世界を賭けて舞いましょう」

 少女は、命がつきる前に、この世界と引き替えに、赤い桜を望んだ。

「世界を赤に染めるために――」

 それは、紅吹雪が舞い散る霊木の下の物語。
 咲くか咲かぬか、此花咲くや?

トーキョーN◎VA The Detonation
「コノハナサクヤ」

「……だって、桜の木の下には、死体が眠っていないと」

――桜の木の下には死体が眠っていると、誰が言い出したのだろうか?

■シナリオハンドアウト
 各キャストには以下の設定がつくことになる。キャスト作成時にプレイヤーとよく相談すること。
 PLが4人以下の場合、『カブト』を削ること。基本的に、PL3人には対応していない。

『カタナ』:花見中にサクヤという少女と出会った剣士
『フェイト』:和泉大佐を説得したことがある探偵
『クグツ』:千早重工後方処理課
『バサラ』:フリーの退魔師
『カブト』:周防大佐の護衛をするカブト

キャスト1:『カタナ』
設定:花見中にサクヤという少女と出会った剣士
コネ:サクヤ 推奨スート:理性(敬愛)
キャストコネ:『フェイト』
――それは、少女と観る花見の夢
 サクヤという少女がいた。たおやかに笑う美少女だった。花見が縁で知り合った。少女を、黒服たちが取り囲む。少女のとまどう表情を観て、貴方は腰の刀にその手を伸ばした。

※ 即死系神業の所持を強く推奨する。サクヤとの交流が、強いモチベーションとなっている。剣士であることが望ましい。

キャスト2:『フェイト』
設定:和泉大佐を説得したことがある探偵
コネ:和泉藤嵩 推奨スート:理性(感服)
キャストコネ:『クグツ』
――それは、父親のささやかな願い
 貴方は、日本軍の凶行を止めるために和泉大佐を説得したことがある探偵だ。その事実だけで人々は、貴方の手腕の確かさを知ることができるだろう。ある日、家出した娘サクヤを説得し、連れ帰ってきて欲しいという依頼人がやってきた。良くある依頼だった。その依頼人が、リムジンに乗って、屈強な護衛を連れ歩いていたことを除いて。この依頼は、間違いなく大事件になる。

※ 隠蔽された秘密を解き明かすために、《真実》など、情報系神業が必須。

キャスト3:『クグツ』
設定:千早重工後方処理課
コネ:ムラクモGX 推奨スート:生命(好敵手)
キャストコネ:『バサラ』
――それは、得難い好敵手
 貴方は、軌道千早のトップエージェント・ムラクモGXを好敵手とする、地上千早のエージェントだ。いつものように、ムラクモGXと熾烈な企業抗争を繰り広げていると、軌道千早が突然和平交渉を持ちかけ、撤退した。撤退に疑念をぬぐえない上層部は当然、貴方に背後関係の調査を命じた。

※ ムラクモGXを好敵手とすることが、強いモチベーションとなるだろう。

キャスト4:『バサラ』
設定:フリーの退魔師
コネ:コノハ 推奨スート:感情(感謝)
キャストコネ:『カブト』
――それは、寂しげに笑う少女
 コノハという少女がいた。たおやかに笑う美少女だった。道に迷って難渋していたのを助けた縁だった。少女の望むまま、一日散策に付き合い、そして別れた。数日後、少女と歩いた道筋にあった霊脈のことごとくが破壊されていることを知った。貴方は、コノハが犯人であることを確信した。別れ際に見せた寂しげな笑みを思い出し、貴方は、コノハを止めるために飛び出した。

※ 《天変地異》など、障害排除系神業が必須。コノハとの交流が、強いモチベーションとなっている。

キャスト5:『カブト』
設定:周防大佐の護衛をするカブト
コネ:周防景昌 推奨スート:外界(依頼人)
キャストコネ:『カタナ』
――それは、共に命を掛ける話
 黄泉千五百軍呪術士官周防大佐。それが依頼人の自己紹介だった。これが本当ならば、目の前の男は、日本軍のトップエージェントということになる。依頼内容は、N◎VAにいる間の周防大佐自身の護衛。貴方に依頼を頼むこの男は、果たしてどれだけ危険な任務に赴いているのだろうか。

※ 《難攻不落》など、他人を守る防御系神業が必須。

■重要ゲスト

●サクヤ(ハイランダー◎)
 女性。花見をしていた和服の美少女。たおやかな笑顔が印象的。黒服たちに囲まれる。

●コノハ(カゲムシャ◎)
 女性。道に迷っていたところを『バサラ』に助けられる和服の美少女。たおやかな笑顔が印象的。

●オオヤマツミ(ハイランダー◎)
 男性。リムジンに乗って、屈強な護衛を連れ歩いてきた『フェイト』の依頼人。家出した娘のサクヤを説得し、連れ戻して欲しいと言う。

●ムラクモGX(カタナ、チャクラ◎、ハイランダー●)
 男性。SL167頁参照。ムラクモとは、天津機関のうち軌道での諜報活動を主とするエージェントで、そのなかでも、GXは最強のムラクモ。

●周防景昌(すおう・かげまさ) (クロマク●◎、マヤカシ=マヤカシ)
 男性。SSS11参照。日本軍の呪術機関・黄泉千五百軍(よもついくさ)の呪術士官。階級は大佐。常に必要最低限の情報しか漏らさない、徹底的に冷酷な秘密主義者。

■アクト傾向
 やんごとなき令嬢と『カタナ』との悲愛を描いたシナリオです。
 そこに、超人たちの鎬を削る死闘が、彩りを加えます。最後は、桜吹雪の元での熾烈な剣舞となります。

■レギュレーション
・達成値に関しては、Aを出したときに最大で25になるように達成値を調整してください。
 《アドバイス》などを使用して上限を超える限りにおいては、問題ございません。
 達成値が上限を超えてしまう場合、あらかじめご相談頂ければ対処致します。
 逆に、達成値が足りない場合も、あらかじめご相談頂ければ対処致します。
・使用経験点、使用スタイル、使用サプリメントについては、特に制限を求めません。
 経験点が足りない方については、相談頂ければ対処いたします。
・《腹心》は、PLがデータを自由に使用できるキャストとして扱います。神業は使用できません。

■必要神業・必要社会
 ゲストの即死系神業だけでキャストが死亡するのを防ぐため、キャスト全員で1個以上の防御系神業が必要である。ゲストが死亡するのを防ぐには、さらに2個以上の防御系神業が必要である。
 さらに、《天変地異》など障害排除系神業と《真実》など情報系神業が必要である。
 使用社会は、アストラル、軍事、日本を想定している。

■予想所要時間
 アクト本編は、3~4時間。

■備考
 このアクトには、厨房分しか含まれていません。ご使用の際は、適量を守り、厨房分の取りすぎにお気を付けください。
[PR]

by hiduka | 2006-10-27 01:18 | TRPG全般
2006年 04月 19日

エピックプレイとは、物語だ(電波風味に)

エピックプレイ

 「文字数が多いからコメント欄に投稿できません」と言われて弾かれてしまったので、自分のブログに転記(苦笑)。
 下記は、紙魚砂様の記事に対するコメントです。

*** *** ***

>例えば英雄が死んでしまって英雄を愛していた人物が黄泉の国に下って英雄を救い出す、なんて話があったらすごく英雄話っぽい

 そーゆー話を作りたければシナリオを作って遊べば良いんです。
 ブレカナにおける死や殺戮者堕ちは結局、経験点ペナルティ以外の何者でもありません。死ねば経験点が半分になるか、そのセッションで使用した経験点が使えなくなる。堕ちれば、すべての経験点が使えなくなる。確かにどちらにしてもそのエピックシートは使えなくなるけども、そのエピックシートの設定そのものをほかのエピックシートに流用してはいけないとは、どこにも書いていないからです。
 だから、そういうシナリオ(黄泉の国に下って英雄を救い出すシナリオ)によって、転生後の別のエピックシートに転記されたキャラと、転成前の救エピックシートに転記されたキャラとの同一性を図るというやり方があっても良いでしょう。

 ただ、ブレカナ・エピックプレイが打ち出したい方向性は、そうではなくて、複数の文献に登場する矛盾した英雄像なのだろうと思います。
 つまり、同一名の英雄が、文献によって、性格や過去、設定すべてがバラバラで、活躍した年代も、活躍した場所も、死亡した時期も、全く異なる。しかしそれらはすべて、後世の我々から観たときに、同一名の英雄として語られているという、支離滅裂感。それを、再現したいのではないかと(ルルブでも、ヘラクレスや女性化したヤマトタケルを例に挙げて論じています)。僕たちPLは、そういう支離滅裂な英雄を、後世の歴史家としての視点でひもといて、ひとつひとつのセッションを通じて解釈・検証していく。そういう感覚なんだと思います。

 まあもちろん、そういう支離滅裂な解釈ではなくて、もっと大河ドラマ的に、一本筋の通った解釈で、統一的に論じるエピックプレイがあってもかまわないのですが。エピックプレイルールの解釈それ自体は、個々のPLGMに委ねられた自由な事項ですので。
 紙魚砂様の「文句」は、どちらかというと、紙魚砂様個人がやりたいエピックプレイルールにすぎないように思います。
 まあどちらにしても、まだ試みが始まったばかりのルールですし、時間と共に、遊び方にしてもルールにしても洗練されていくんじゃないかと思います。

 なお、この点、面白いことを言う人がいて、エピックプレイとはつまり、キャラクターシートではなく、もはやストーリーシート。つまり、人物ではなく物語をPLに管理させる者ではないかというのです。
 早い話、いままでのように「女騎士アンネローゼ」というキャラを扱うにとどまる必要性すらなく、たとえば、「クロス司教領年代記」とか、「剣匠卿歴代記」とか、「ある濡竜将の日記」とか、「ブローズ朝エクセター王国興亡記」とか、「歴代エクセター十勇士3番の席」といったキャラでさえ、許されてしまうのです(そう言って時代毎に、歴代の司教領司教や剣匠卿や濡竜将などをプレイするわけだ)。もっとも、それに違和感を感じて許さないPLやGMは、普通にいると思いますが(苦笑)。
[PR]

by hiduka | 2006-04-19 20:58 | TRPG全般
2006年 04月 04日

ブレカナエピックプレイの遊び方

 Amisty氏と話し込んでいて、なんとなく、エピックプレイの遊び方が見えてきました。個人的なプランニングとして、如何に書き込んでみます。

 通して読んだ感想としては、意外に、コンベンション向きのルール。
 はじめエピックルールを見たときは、アルカナに大河ドラマ的な戦国絵巻の主砲を持ち込むためのルール、つまり、キャンペーン嗜好のルールかと思ったが、そうではないようだ。
 エピックプレイで決まるのは実は、生年と(PLが決め撃ちした場合の推定)没年。それに、大まかなパーソナリティ。人によっては、その人の大河的な人生(いつ頃誰と出会ってどう出世したかなど)だけで、実は、それ以上細かく決める者ではない。
 その上で、シナリオの要望に応じて必要なアルカナ(役割)を当てはめ、少ないキャラでセッションに参加しやすくするためのルールであるようだ。
 つまり、たとえばアンジェリーネというキャラがいれば、あらかじめ(あるいはシナリオの要望に応じて)、いくつかキャラデータを作っておき、シナリオに合わせてデータを使い分ける。
 この利点はみっつある。
 ひとつは、あらかじめ複数のデータを用意しておくことでシナリオにすぐに参加できる手持ちのキャラ(データ)を複数用意できること。
 ひとつは、データに合わせて複数のキャラロールを使い分ける必要がないため、安定したロールプレイを提供できること(これは従来のN◎VAやブレカナの問題点でした。ちょっと特殊なシナリオになると、すぐに特別にキャラを用意しなければならなかった)。
 もうひとつは、キャラの立ち位置やアルカナやデータをシナリオ毎に入れ替えることで、プレイしているプレイヤー自身にキャラの多面性を気づかせ、キャラに深みを与えることだろう。

 これはどういうことを意味するか。
 たとえば僕の手持ちキャラに、アンジェリーネ枢機卿というキャラがいる。2ndのころは、次期枢機卿候補と名乗り、一世を風靡した大司教という設定だった。アルカナは、デクストラ=コロナ=イグニス。これは、「ルネサンス期の享楽家の敬虔な腐れ坊主」を再現するためで、そのため大司教のくせに、マーテルが入っていない。これだと本当に敬虔な信仰心(マーテル)が試されるシナリオには入れない。

 ところが、これがエピックプレイになるとどうか。
 アンジェの本質とは、「腐れ坊主」である。
 マーテルが入っていようが、ステラとして導こうが、デクストラとして研究に没頭しようが、射撃に長けた司教として戦場を駆け抜けようが、そのテクスチャーは、同じ「腐れ坊主」となる。つまりだ。

 デクストラ=コロナ=イグニスでも、デクストラ=コロナ=マーテルでも、デクストラ=コロナ=ステラでも、デクストラ=デクストラ=マーテルでも、コロナ=マーテル=イグニスでも、同じアンジェリーネとして扱われるのだ。

 そして、(ここからが重要なのだが、)“後世の歴史書”に、「この破廉恥な偽僧侶アンジェリーネは、枢機卿という位を金で買った悪漢である……」などと、書かれるわけである。この歴史書には、アンジェリーネのマーテルとしての活躍は描かれていないが、ほかの歴史書をひもとくと、もしかすれば、マーテルとして活躍するアンジェリーネの姿が描かれているのかもしれないのだ。これは逆に言えば、「腐れ坊主」がアンジェリーネの属性であり、物語上の役割でないなら、マーテルは必要ないことになる。
 たとえば、『ローランの歌』(←中世騎士道の著名な英雄譚)の主人公ローランは、その破滅的な見栄っ張りで、十二勇士を破滅に導いた騎士であった。ローランは確かにそれまで騎士として、アダマスとして活躍した話があったとしても、その、『ローランの歌』では、仲間を守るアダマスではなく、仲間を破滅に導くグラディウス=アルドールであったのだ。
 これは、色々と応用が利く。
 たとえば、それまで役立たずのお調子者であった臆病者(ウェントス=ウェントス=ウェントス)が、最後の勇気を振り絞り(ステラ=ルナ=オービス)、魔神に挑み、オービスの逆位置で、命を代償に魔神の《真の死の印》を破壊するといった演出もあり得るのだ。
 あるいは、魔神の演出にもふさわしい。物語の中で魔神は大抵、複数の層(ペルソナ)を持つ。多種雑多な願いを叶えてくれる。シナリオ毎に、消え者の望みを叶えるために、魔神のアルカナは毎回異なることになるのだろう。

 ってーわけで、お勧めとしては、いくつかの立ち位置を見極めていくつかキャラ設定を作り、それぞれのキャラ毎にまた、数パターンのデータを用意し、それをとっかえひっかえして遊ぶというのが、遊び方として安定することになるのではないかと、そう思うわけだ。
 ……さて、アンジェリーネから、何パターンかデータを作ってみますか。まずは、マーテルの層(ペルソナ)を持つアンジェからかなぁ。
[PR]

by hiduka | 2006-04-04 01:08 | TRPG全般
2005年 11月 06日

「3人以上キャストが登場すると画面が五月蠅くなるので避けるべき」

 今日のセッションを振り返って、参加者のPLのひとりと、メッセで話した。
 そこで、いつも主張していたことではあったのだが、それをきちんと理論化できていなかったことを、上手く言語化できたので、ここに記す。
 なお、下記の文章は基本的にN◎VAを想定している。おそらく、多くのシーン制を採用しているFEARゲーにも援用できる事項であろう。

命題:
「3人以上キャストが登場すると画面が五月蠅くなるので避けるべき」

 この命題、私だけじゃなくて、多くの、慣れているFEARゲーマーであれば、わりと支持がもらえることだと思う。
 じゃあ、この命題の根拠は何か? そこでふと、下記の理由を思いついた。

 シーンには明確な目的意識が必要だ。
 明確な目的を持って、シーンを展開させて、シーンを「終了」させる。この目的設定を、シーンプレイヤーが明確に持つことこそ、アクトを成功に導く秘訣となるだろう。これは、ストレイライト収録などのプレイング教本で繰り返し論じられていることなので、わりと多くの人に同意してもらえることだろう。

 ところが、ここでもうひとりキャストが登場したとする。すると、とたんに目的が複線化して濁り、シーンの目的設定が難しくなる。このことは、容易に理解できることだろう。なにせ、ふたりのキャストには、それぞれ別々の目的がある。そこで、ふたりの目的を充足させることはなかなか難しいだろう。
 では方法はないかと言えば、ある。
 ふたりなら、情報交換といった目的、スタイルの違いによるシナリオテーマの掘り下げなど、いくつか典型的・古典的な目的を設定できる。したがって、キャストふたりがシーンに登場する場合までは、まだそう難しくない。

 では、キャストが三人登場した場合はどうか?
 とたんに難しくなるだろう。キャスト三人が、目的意識を明確に共有できなければ、シーンはなかなか終了せず、シーンが延々続いてしまうことになる。……きっと、一度や二度、そういう場面に遭遇したことがあるはずだ。長々続いてしまって、しかも、切るに切れない状態が続いてしまったことが。

 じゃあどうすればいいか?
 目的の図式を単純化すれば良い。
 たとえば、一対一の対話(つまり、キャストふたりのケース)の一方に、三人目のキャストが従属(同行)するなど。こうすれば、四人目が登場しても大丈夫だ。つまり、一対一の対話に、さらに一人ずつキャストが同行するカタチにすればよい。

 さて、では、こういう事態にFEARシステムが、なんらの手段を講じていなかったのか? と言えばそうでもない。
 それが、シーンプレイヤーという技術だ。
 そのシーンの間、シーンプレイヤーの目的こそ、すべての目的に優先される。そして、ふたりめ以下のキャストの目的をそれに従属させる。こうすれば、目的が混戦することが避けられることになる。なるほど、全く持ってシンプルな回答である。
 なるほど、だからこそ、シーンプレイヤーの目的こそを優先しなければならないわけだ。

 何か書いてみるとすっげー当たり前のことを、今更書いているような気がするけども(実際、いままで実践してきていたことなんだし)、わりと目から鱗だったので、ここに記しておこうと思う。
[PR]

by hiduka | 2005-11-06 00:31 | TRPG全般
2005年 11月 03日

ダブルクロスシナリオ「Hand Of Justice━正義の手━」をプレイして

http://d.hatena.ne.jp/Hellbaby/20000201

 こちらに掲載されているシナリオを、今日、GMして頂いた。
 よいGMであったことと、PLが慣れていることがあって、セッションはとても楽しく遊ぶことができた。
 ただ、そこでひとつ、ちょっと面白いというか、自分自身とても参考になる事態を目撃したので、ここに記しておく。

 目撃した事態というのは、アドリブについて。

以下ネタばれ注意(知っていても、問題なくPLができる程度の情報だと、私自身は思いますが)
[PR]

by hiduka | 2005-11-03 21:34 | TRPG全般
2005年 08月 09日

ローズトゥロードシナリオ「3つの願い」を読んで

ローズトゥロードシナリオ「3つの願い」掲載
http://simizuna.exblog.jp/3270482/

 紙魚砂様のシナリオを読んで。
 非常に僕好みのスタンダードファンタジー。是非、GMとしてもPLとしても遊んでみたい。
 シンプル克つコミカル克つ、人間の機微に触れた、良いシナリオだと思います。
 ちなみにこのシナリオ、最近取り上げている葛藤形式シナリオとはまた別の書式で書かれたシナリオではあるのだが、やはり、SSS形式に慣れた人からすると、「遊び方がわからない」という結論になるのだろうか? 是非とも意見を伺いたいところ。

 ……ってあー。でも、確かに、ファンタジーの文法になれていないと、そもそも、暗黙で成立しているシナリオのルールがわからない可能性が高いのか? となると、もし仮にこのシナリオを商品化するには、一通り、ファンタジーの作法を注釈する必要があるんだなぁ。

 って、考えてみれば、僕が昔書いた、「人魚姫」契約とその破棄の手法について、相当事細かに書いたっけ、そういえば。
[PR]

by hiduka | 2005-08-09 12:17 | TRPG全般
2005年 08月 05日

停滞させちゃいけないシナリオと停滞させなければいけないシナリオ

 SSS形式のシナリオで、ひとつの不文律がある。

 セッションは停滞させちゃいけない。
 セッションはジェットコースターであれ。

 SSS形式のシナリオってのは、いわば、観客が映画の主人公の視点で物語を眺めるようなものだ。主人公は葛藤し、ためらい、挫けるだろうが、映画は停滞しない。それこそ、ジェットコースターのように物語はどんどん進展する。どんな物語教本にも書いてあることだが、観客が停滞するような物語を創作してはいけないのだ。観客を暇させてはいけない。常に、物語は動き続け、観客を暇させてはいけないのだ。だから、ドラマティック、シネマティックを標榜するSSS形式もまた、観客であるPLを暇させてはいけないし、停滞させてはいけない。
 SSS形式のシナリオを、情報収集が自動販売機みたいだとか、シナリオが結末が変化しない一本道でPLが参加する意義がない、シナリオライターのオナニー、などと揶揄する人間も多いが、これはとんでもない勘違いだ。これはすべて、SSS形式のシナリオで成功するための必須の技術だ。ここら辺を揶揄する人間は、単に、SSS形式でちゃんと面白いシナリオをやっていないか、あるいは、ちゃんと面白いシナリオをやっているにもかかわらず自身がそのプレイングを受け入れる準備ができておらず拒絶反応を起こしてセッションを崩壊させてしまった困ったチャンでしかない(頭からこんなセッション面白くないと思いこんでいる人間が遊んで、面白いセッションになるはずがないでしょ?)。どういうシナリオが望ましいかなんて所詮好みの問題であり、それを受け入れないのは自分の偏食を呪うべきであり、シナリオやセッション、プレイスタイルを非難すべき問題ではない。これは、断言しても良い。

※ こう書くと、SSS形式のシナリオの何が面白いんだよ、所詮一本道だろ? と決まって反論をされるわけだが、答えはそこに既にある。「一本道を」楽しむんだ。演劇の俳優が、演技を楽しむように、自身もその一本道を楽しめばよい。それとも君は、「演劇の俳優が、演技を楽しむ」ことを否定するのかしら? それは君の楽しみではないにしても、誰かの楽しみであることは間違いないんだから、君に否定されるいわれはないのだ。もちろん、「TRPGは演劇ではない」と反論したい人種の気持ちはわかるが、だが同時に、「TRPGはゲームである必要もない」のもまた、真理だ。それはさながら、テレビゲームから、ノベルゲームという(もはやゲームと呼ぶことが難しい)ジャンルが生まれてきたのと同じように。ゲームと呼ばれてきたジャンルの中から、ゲームじゃないものが生まれてきたとしても、それを指示する人間は必ず存在する。そして、それを否定する権利は誰にもない。当たり前のことだろう。
 それにそもそも、批判者が思う以上に、SSS形式のシナリオも一本道ではない。多人数で遊ぶ以上、多くの人間の思惑が交差するのだから、当たり前のことだ(もちろん、自由な分岐のダイナミズムというのはなくなるけど)。
 ここら辺は、別の機会に論じます。

 話を戻そう。
 そこでSSS形式はどうするか。
 イベントを読み上げ、情報が自動的に入って来るようにして、どんどんと、PLがゲーム的に悩む要素を削っていく。PCは、正義をどう貫くか、コネの悪事を許すべきか許さぬべきかと、延々悩むロールを続けるにもかかわらず、PLは、ゴールに向かって一直線に突き進む。SSS形式でPLがなすべきことは、PCをストーリーラインに乗せること。PCの仕事は、例えば正義を示すことだったり、ヒロインといちゃつくことだったり、テロに走った古い友人を説得することだったり、死にフラグを立てた戦友をさらに確実に殺すように死にフラグを上乗せすることだったり。
 とにかく、SSS形式のシナリオでは、シーンはテンポ良く、次にどうやって情報を得ようとか、どうやって戦おうとか、そんな些末なことでPLを悩ませてはいけないのだ。そんなことよりも、どうやってフラグを立てようとか、どうやって負けブックを飲もうとか、どんな煮え台詞を吐こうとか、どんな妄言をだだ漏れさせようとか、そういうことを考えることに、PLを悩ませるべきなのだ。
 そして、だからこそ、SSS形式のシナリオには、神業といった、ブレイクスルーシステムがよく似合う。それはつまり、PCにゲーム的に絶対的な状況打開の力を与えておき、PLにロールプレイに注視させる。停滞させないための配慮なのである。

 シンプルに言えば、SSS形式のシナリオは、セッションを停滞させちゃいけないのである。
 そしてその結果が、プレイ時間三時間程度という恩恵。
 ……実際、私自身その恩恵をよく受けておりまして。一日に二~三セッションはざらで、年間200セッションに届くかという阿呆ブりである。

 そこで、最近のSSS形式に慣れたTRPGゲーマーのなかから、必ず勘違いする輩が出てくる。

「プレイ時間を掛けるセッションはそれだけで駄目だ」

 違います。
 あくまでも、この立論は、SSS形式のシナリオを前提にした議論だ。それはさながら、葛藤形式のシナリオでハンドアウトが必要とされないケースが多いからと言って、SSS形式のシナリオにハンドアウトが必要ないというのと同じぐらい、愚考だ(ハンドアウトの要不要については、今回論じるべき話じゃないのでパス)。
 もちろん、こういう反論を喰らう。

「短い方がいいに決まっているじゃないですか?」

 それは、「短い方が良い」という規範意識を持っている人間の台詞だ。もともと、TRPGセッションを一日かけてじっくり遊ぼうと思っている人間に、「短い方が良い」なんて意識はない。それは例えば、いままでテニス観戦は一日かけてじっくり観るものだと思っていたテニスファンが、「来年から、視聴率確保のためにテニスのスピードアップを図るために、テニスの試合をマッチポイント制から時間制に変更します」と言われたときの表情に似ているだろう。確かに、時間制にした方がテニス観戦の視聴率はとれるから、商業的には正しいのではあるが、違和感を感じるファンの心情は、理解できるだろう。その心情まで、間違っていると論破する勇気は、私にはない。

 では、次のように言い直すことはできるのか?

「セッションを停滞させてはいけない」

 実を言えば、これもあくまで、SSS形式のシナリオでのみ、通用する論法である。
 実は、葛藤形式シナリオの場合、逆に、「セッションを停滞させなければならない」のだ。そして、如何にセッションを停滞させるかこそ、セッションの成功の秘訣である(という、敢えて誤解されそうな言い方ができる)。
 つまりどういうことか。葛藤形式シナリオの場合、PLを悩ませなければならないのだ。
 葛藤形式シナリオの仕掛けはシンプルだ。「解決すべき問題がある」「ところがその問題の解決には、対立利益がある」「あるいは、心情的にとても後ろめたい手段を執らなければならない」これにつきる。しかし、とりたてドラマチックな展開があるわけじゃない。こういうシナリオはそもそも、PLに悩んでもらうことに主眼をおいているため、派手な展開ではなく、地味で卑近だが、ボディブローのようにじわじわ効いてくる決断を迫る。それは逆に言えば、PLに感情移入してもらい、本気で悩んでもらわないと、そもそもそのおもしろさが伝わってこないのだ。実際にプレイしてもらわないと感覚が伝わらないだろうが、こういうシナリオの場合、その悩みは、非常にくだらない、なんでそんなことに悩んでいるの? 的な状況が多い。でも、それはその人にとってとても致命的なことであり、身動きがとれない。そこからの打開こそが、PLの目的となる。あるいは、本気で命に関わる致命的なことで、それを打開するためには、同様、命の危機に係わるような決断をしなければならない(システム的にブレイクスルーが保証されていなければ、本気で命に関わる)。どうにも身動きできない状況なのだ。こういうプレイのときに、「じゃあいいや、出たとこ勝負で」と言われダイスを振って「ああ死んだ死んだ」と言われると、非常に興ざめなのだ。くだらないことだからこそ本気で悩んでもらいたいのだし、ブレイクスルーがないからこそその命の危機に打ち震えて欲しいのだ。
 そして、決断するために、生き残るために、本気で、PCNPC間で交渉和解議論妥協を行う。この、「PCNPC間での交渉和解議論妥協」に掛かる時間は、SSS形式的には、とても無駄な時間、セッションが停滞した時間のように思えるが、まさにこれこそが、葛藤形式シナリオの真骨頂であり、SSS形式シナリオがPCのラブシーンや妄言、超人エフェクトこそセッションの真骨頂としてPLたちが頭を使い、一番時間を掛けて演出するのと同様、葛藤形式シナリオでもっともPLたちが頭を使い、一番時間を掛けてプレイングしなければならない場所なのである。

 だからこそ、葛藤形式シナリオでは、「セッションを停滞させなければならない」のである。

 ただし、ここでまた、葛藤形式シナリオのGMのなかで、勘違いする輩が出てくることにも、釘を差しておかねばならない。

 何でもかんでも、「セッションを停滞させなければならない」わけではない。
 あくまで停滞させなければならないのは、PLたちの葛藤であり、そこに至るための謎解きなどではないということだ。あくまで葛藤を楽しんでもらいたいのであれば、葛藤に至る情報は、できうる限り速やかに情報を渡さなければならない。
 私が先日、『扶桑武侠傳』サンプルシナリオで、「彼女が暗殺者「勿忘草」だと気づかれたらシナリオは終わりですので、気づかれないために、あえて、ほとんどロールプレイをせずに、進めたほうがうまくいきます。」という一文を批判したのも、まさにここだ。
 ここら辺を勘違いした瞬間。

「えー。馬鹿だねー。折角情報渡したのに、なんで気づかないかなー。推理力が足りないねー。ニヤニヤ」

 という、超勘違いGMの一丁完成となるわけだ。

 つまり、葛藤形式もまた、SSS形式から学ばねばならないことがあるのだ。例えば、今回言及した、情報の速やかな伝達方法など。
 それは、SSS形式が、(今回は言及しないが)ハンドアウトの柔軟な運営方法を葛藤形式から学ばねばならないのと、同じような理由でだ。

 思い込みこそ、己にとって最大の敵である。
 自分のプレイスタイルが完成したと思ったときこそ、最大の危機である。
 柔軟に、いこう。
[PR]

by hiduka | 2005-08-05 16:26 | TRPG全般
2005年 08月 03日

非SSS形式シナリオ(葛藤形式シナリオ)の回し方

 かつて、『ニューロDECK』というシナリオ集を出したときに、遊び方がわからないと言われたことがあった。自分としては、実にプレイしやすいシナリオ集を心がけただけに、ショックも大きかったのを覚えている。色々と思うところもあるが、素直に聞き入れ、今度のコミケで頒布するシナリオは、SSS形式に完全に準拠し、イベントを読み上げるだけで誰でもRLができるように心がけてみた(実際にそうであるかどうかは別として)。
 だが何故、シナリオの読み方がわからない、遊び方がわからない、プレイできないという感想を、読者は抱いていたのであろうか? NPCの行動指針をあれほど詳細に記述しているのに?
 そんな疑問が、本日、2chの『扶桑武侠傳』スレを読んでいて、突然氷解した。
 『扶桑武侠傳』のサンプルシナリオというと、遊び方がわからないという批判が強い。実際、私が遊んだときは、ハンドアウトをGMが用意してくれたので、事なきを得たのだが。
 しかし、私が読むと、いくつかの問題は感じつつも、概ね、プレイに支障があるようには思えない。実際、私がGMするとすれば、ハンドアウト無しでプレイするだろう。
 では、スレを読んで、どのように氷解したのか? 実際の書き込みを引用してみよう。
617 :NPCさん :2005/08/01(月) 16:55:07 ID:???
>>612
シナリオの内容が関わってくる部分に関してはほとんど言えないので既出の内容になるが
「肝心の部分が投げっぱなし」「あからさまに怪しい点を調べる・阻止する事が出来ない、もしくは(判定の為の)情報がない」

NPCの行動指針があればマスターできる人種ばかりじゃないよ、と思った。
特に「武侠よく知らないけど、ちょっとやってみようか」では無理。(かなり根本的な箇所で理解に苦しむ部分があるだろう。)
一度やるなりしっかり把握した上で、自分なりのシナリオとして完成させておかないと危険だ、あれは。

 ああなるほど、シナリオの読み方と言うよりも、こういうタイプのシナリオの遊び方がそもそもわからないから、シナリオの読み方も想像がつかないんだろう。
 自分は、「NPCの行動指針があればマスターできる人種」だ。逆に、NPCの行動指針がないシナリオは、プレイしていて辛いことが多い。特に、NPCの行動指針がはっきりしていないFEAR系のシナリオは、動かしづらいと思うことが度々ある。行動指針がはっきりしないので、とりあえずシナリオ通りにイベントを読み上げるのだが、どうにもイベントがキャストの言動にマッチせず、ちぐはぐになってしまうからだ。巧く回すには、そのシーンで渡すべき情報を見極め、相当程度シーンに手を入れる必要がある(ことが多い)。ほかのシーンで情報を渡せばいいやとか思っていると、その情報が以降のシーンのトリガーになっていることも多く、なかなか気が抜けないのだ(苦笑)。

 じゃあ、「NPCの行動指針があればマスターできる人種」ってのは、どういう思考パターンの持ち主かと言えば、「NPCをGMが操る駒のひとつだと割り切っている人種」である。それは、将棋のように、NPCをひとつひとつの駒に見立て、限定された舞台(よくありがちなのが、館や離れ小島のような閉鎖空間、あるいは、『扶桑武侠傳』サンプルシナリオのように道中が限定された旅行行程)を将棋盤に見立て、将棋盤にNPCを適宜配置して、ゲームをデザイン・プレイしていく感覚だ。ストーリーの筋を追いかけていくのではなく、ストーリーを組み立てていく感覚に近い。こういうシナリオの場合、概ね、重要NPCの数が多く(3人から5人。いわゆるFEAR系だと、キーNPCは多くて3人。大抵は敵ひとり味方ヒロインひとりのふたりだ)、NPCにはそれぞれの立場があって、その立ち位置、味方になるか敵になるか、重要度の有無は、PCの振る舞いで幾らでも変化する。舞台は、そんなNPCが入れ替わり立ち替わり登場退場する限定空間で、村や離れ小島、館、城塞都市などが好まれるだろう。公開されている自作シナリオで言えば、「猿婿」「人魚姫」「モンテギュールの翼」「stella」などが該当するだろう。PCたちは、NPCたちとの対話を通じ、NPC間PC間の対立構造・コンフリクトに気づき、この問題をどう解決しようかと、PLレベルで頭を悩ませることになる。この、「PLレベルで頭を悩ませる」ことがシナリオのポイントであり、PCたちのそれまでの行動で「どのNPCが味方になってどのNPCが敵になるか?」が決まり、PCたちの責任ある行動の結果が、そのシナリオでシナリオ打開に有効に使える交渉材料になることになる。
 あるいは、GMが、自身が「NPCのPLである」という感覚でプレイする。この場合、ひとりのNPCとPCたちとが、じっくり向き合って対話を進め、GMは、NPCの心情を、PC立ちとの対話を通して変化させていくことになる。こういうタイプだと、重要NPCはひとりに限定され、NPCとPCたちとがずっと一緒に行動することに不自然がないシチュエーションを設定することになるだろう。今回の『扶桑武侠傳』サンプルシナリオのような旅物がその代表だ。拙作「鶴の恩返し」も、このタイプに分類される。あるいは、エレベーターやダンジョンの一室といった密閉空間に事故で閉じこめられるという舞台設定も面白いだろう。こういうタイプのシナリオでは、GM操る重要NPCは、明示暗示でNPCが抱えている問題を切にPCに訴えかけ、PCたちは、この問題にどのように向き合うか、それぞれの決断が迫られることになるだろう。その決断こそが、シナリオのコンフリクトとなる。
 どちらにしても共通することは、NPCとPCとの対話を重視し、対話を通じてシナリオのコンフリクトをPLたちに理解させ、その解決をPC・PLに促すことだろう。つまり、こういうタイプのシナリオでは、「いかにシナリオのコンフリクトをPLに理解させるか?」「コンフリクト解決のやる気を如何にPLに抱かせるか?」が、シナリオ成功の鍵となり、GMは、そのためにもその手腕を駆使することになる。
 そして、はっきりと言えば、「コンフリクトの解決方法」なんて、GMにとってはぶっちゃけどうでもいいわけで、重要なのは、「コンフリクトの解決に立ち向かうことをPLが決断」し、「コンフリクト解決につき、その手段を採用することをPCが決断」することである。それはつまり、それだけ、そのシナリオ、そのコンフリクトの解決に、PLがのめり込んだ証拠となるからだ。そこまでPLがシチュエーションにのめり込んだセッションであれば、どのような解決を迎えようが、盛り上がらないはずがない。これこそが、こういうタイプのシナリオをつくるGMさんの信念であり、哲学だ。

 こういう仕組みのシナリオに対し、最近のFEAR形式のシナリオ……いわゆる、SSS形式と呼称できるであろうシナリオ群は、ストーリー的盛り上がりを重視する。オープニングがあって、ドラマがあって、対立があって、勝利がある。微かな余韻を残したまま、物語はエンディングロールを迎える。ハリウッドも採用するストーリーの基本的枠組みスリーアクトストラクチャー(物語ははじまり、展開し、対決を経て、終局する)を忠実になぞった結果である。これはまた、最近のFEARが採用しているフェイズ概念にもぴたりと一致するであろう(オープニング→ミドル→クライマックス→エンディング)。こういうシナリオでは、出されたコンフリクトは解決されなければならない。シンプルな民話類型にあやかって言えば、王子は流離し、王女と出会い、王女は悪漢に苦しめられ、王子は強大な悪漢を退け、大団円のなか物語は幕を閉じるべきだ。
 もちろん、実際のハリウッドも、様々な物語類型を採用しており、ここに描いたような典型的な「大団円で終わる勧善懲悪もの」ではないケースも多いのだが、主人公たちが直面した問題点を、いかに退けて解決するか、その、鮮やかな解決方法に焦点が向けられることになる。だからこそ、敵は強大でなければならず、クライマックスの戦闘は熾烈を極めるべきである(解決すべき問題は困難であるほど解決したときのカタルシスは大きい)。
 こういうタイプのシナリオでは、PLを迷わせてはいけない。GMは常にPLに語り続けなければならない。君たちのPCは英雄だ。魔王を倒す英雄だ。観ろ、民衆は虐げられ、救いを待っている。民衆をかばうヒロインはその細腕で健気に立ち振る舞うが、そのヒロインにすら、悪漢魔王の魔の手は伸びている。もう時間はない、立ち上がれ、正義をいまこそ示すべきときだ。君たちしかいないのだ。君たちしか魔王は倒せない。君たちこそが魔王を倒せる英雄だ。もちろん敵は強大だ。君は負けるかもしれない。だが、ここで膝を屈するか? いや、できまい。なぜなら君たちは英雄だからだ。さあ立ち上がれ、剣をとれ、敵を討ち滅ぼすのだ!! ……などと、延々、各種イベントを通じ、GMはPLたちに語り続けなければならないのだ。ここで伝えなければならないことは「味方が虐げられている」「敵は確かに強大だ」「だが、君たちにしか、この問題を解決できないのだ」ということにつきる(もちろんそこに、ロマンスや甘酸っぱい青春や、家族愛や、その他諸々エピソードが差し挟まれるのだが)。
 大切なのは饒舌に語り続けることであり、そのためにはイベントをテキストに書き出して、流ちょうに読み上げる必要がある。それはさながら、一本道シナリオ吟遊詩人マスターと揶揄される姿に映るかもしれないが、どっちにしても、その語りでPL立ちを酔わせて、自分のPCが英雄だ、自分たちが問題を解決するんだと、盛り上がれば、一本道だろうが何だろうが、セッションは成功に終わるだろう。

 つまり、両方のタイプのシナリオは、そもそも、力点の置き方が根本的に違うし、そのための記述方法が根本的に異なる。したがって、GMが重視すべきポイントも当然のように異なるのだ。
 SSS形式に重要なのは、モチベーションを作り上げる詳細なイベント描写であろうが、もう一方の形式にとって重要なのは、モチベーションを作り上げるNPCとの濃密な対話だ。どちらもPLのモチベーションを作り上げることを重視するが、その力点の置き方は根本的に異なる。
 確かに、SSS形式の場合もイベント描写のヴァリエーションのひとつとして対話が設けられることがあるだろうが、それはどちらかと言えば、ヒロインの苦難を伝え、敵の強大さを指し示し、PCが英雄であることを証明するための、シンプルでスタイリッシュで熱くクールなやりとりだ。
 もう一方の形式(以下、葛藤形式シナリオと呼称する)は、そうではなく、もっと泥臭い、お互いの傷をえぐり合うような、見ているだけで痛々しい、人間関係の縮図、人間の醜さがあらわになるような、生々しいやりとりこそ、「モチベーションを作り上げるNPCとの濃密な対話」であると定義される。そこまでやって初めて、このシナリオで解決すべき、ドウしようもない困難なコンフリクトが提示される。倒すべき敵が存在しない、敵を倒したところで到底大団円とは言えない、人間関係を発端とした、ほつれた問題が提示される。そんな解決不可能なシチュエーションの中、各人がどういう苦渋の決断をするか? あるいは、誰も思いつかなかったような鮮やかな和解手段を思いつくか? それは見ていて痛々しい、ときに不愉快な決断を問うことにもなるだろう。まさに人間力を問うシナリオだ。カタルシスはない。あるのは、やり遂げた疲労感。それを心地よく感じるか不快に思うかは、その人次第。

 なんとなく、両者の違いを認識できたであろうか?

 では、葛藤形式シナリオの遊び方、具体的なマスタリングテクニックについて言及しよう。
 先に言及したとおり、つまるところ、マスタリングは、「いかにシナリオのコンフリクトをPLに理解させるか?」「コンフリクト解決のやる気を如何にPLに抱かせるか?」「その際、PCがどのような態度をNPCに取ったかで、以後にPCがとれる選択肢が変化する」の三点に集約される。つまり、この三点を意識してプレイすれば、セッションは、まず概ね成功することになるだろう。
 NPCの悩みを、明示暗示で提示する。「例えば」と話を振る。下働きや近所の人間からNPCのうわさ話を聞かせる。ぶっちゃけ、悩みをうち明ける。
 その際、一方的に話を振るのではなく(実際に、それではNPCの愚痴を延々聞き続けることにしかならない)、「貴方はどうなのですか?」と、話を振る。そこで、PCの悩みを聞き出せればしめたもの。PCNPC間で、他人に話せない悩みを共有することになり、強い連帯感が生まれる。別に難しいことではない。“GMは、”PCの設定をPLの口から予め聞いているのだ。ならば、そのPCの設定を活かし、まさにPCが抱えている問題に突き当たる質問を振れば良い。帝国を憎く思うPCがいれば帝国の現状について話題を振り、肉親を失ったPCがいれば兄弟愛や家族愛について話題を振り、強さに拘るPCがいれば戦場での心構えを問い、恋人を失い失意のPCにはかつて死んだ恋人と貴方は似ていますと話を振れば良いのだ。躊躇うことはない、傷口をえぐれ。痛い痛いとPCに叫ばせろ。それが、設定を活かすということだ。これは、因縁と言ったPCの内面を表現するルールがある天羅といったゲームの場合、特に楽だろう。なにせ、PCシートに、大きく、「ここをえぐってください」と書いてあるのだ。もちろん、ここでは、GMはPCに合わせて、NPCからの問いかけを変えていかなければならないという負担がある。その面倒を回避するために編み出されたのが、天羅零で導入された宿命だろう。宿命は、アクト開始時に渡される、シナリオにマッチするよう特化した因縁であるからだ。だが、宿命を使わずとも、PCシートをよく見れば切り口が見えてくるのであり、「たとえ話」や「穏やかな日常会話(のつもり)」「相手を知るために振ってみた話がたまたま傷口をえぐる話だった」といった手腕を駆使すれば、幾らでも対応が可能なのだ。どうしても難しいと思うなら、そのセッションでは、その因縁を持つサンプルキャラを禁止にすればよい。その旨伝えた上で、PLが改善案をアドヴァイスしたらまた、考えればよい。そうやって、アクト前、アクト中、常にプレイングを刷新しているスタイルを忘れないことだ。
 その際、重要なことは、決して、PLを馬鹿にしない。この点につきる。
 PCだったら幾ら罵倒しても良い。もうそうだ。ヒロインが涙目になりながら「この馬鹿!」「鈍感!」「意気地なし。貴方にそんなことができて?」と言われるのは、ある種快感ですらあるだろう。
 だが、そういう言葉をPLに投げかけてはいけない。その発言すべてを真摯に聞き入れる態度が必要だろう。その上でどうしても承伏できないのであれば、その旨を素直に告げ、改善案など、PLの知恵を拝借する態度を忘れてはいけない。PLを填めようとか、罠に掛けようとか、そういうくだらないことは考えない。ぶっちゃけ、PLのオナニーを認める。絶対に間違ってもPL発言を逆手にとって「ええー。君がやりたいこと認めたんじゃない。ニヤニヤ」なんてことは言わない。それは、最低のGMがやることだ。そのGMには、決定的にPLを楽しませようという態度が足りない。例えその裁定が公平であったとしても、そんな不愉快な態度を取るGMは、人間として人格を疑うべきだ。

 『扶桑武侠傳』サンプルシナリオで伝えるべきことは、「ヒロインの正体」と「ヒロインが抱えているわだかまり」だ。彼女は、弱いヒロインを演技している。ならば、その演技の中で、自身の心情を吐露すればよい。なに? 暗殺者というヒロインの設定を考えると、リアルリアリティがない? 気にするな、これは武侠ものだ。PLは、ヒントが与えられなければそもそも、気が付けないものだ。勘を働かせるには、目線の動きと言った意識下の情報が決定的に足りない。それで気づけという方が無理な話だ。だから、ヒロインからばんばん話しかけるべきなのだ。
 まあ(そんなことはないと思うのだが)シナリオライターは、さらに上を考えていて、ヒロインがしゃしゃり出ると、PC間の会話が促進しないと考えているのかもしれない。あるいは、シナリオライター自身は、ヒロインをしゃべらせないでPC間の会話を促進する方法を知っているのかもしれない。……じゃあ、どうするか? 宿の親父といったエキストラに、ヒロインの心情ストライクな話を振らせるという方法があるだろう。あるいは、ヒロインの口から、ちょうどPC間で対立しそうな話題を振るというのも手だろう。そうすれば、PC間で勝手に対立して、PC間の会話が促進する。

 ここら辺のテクニックってのは、ちょうどTRPG冬の時代に、コンベンションの巧いGMさんづてで伝えられてきたテクニックだっただけに、きちんと技術継承がされていないようだ。今回を機に、気づいた範囲で一部明文化してみたので、各自、精進してもらいたい。
 ……実際の火塚のマスタリングが巧いかどうかはさて置きね(苦笑)。
[PR]

by hiduka | 2005-08-03 18:10 | TRPG全般
2005年 06月 23日

TRPG Baton

 はたさんから、なんか回ってきた。
 Musical BatonのTRPG版。はじまりは、田中天様。

 質問内容は、以下の5つ。

★1.所有してるTRPGの数

 大半を段ボールにたたき込んでいるからなぁ。
 多分、50以下だと思うんだけども。最近、新作買っていないし。

★2.最近お気に入りのTRPG

『トーキョーN◎VA TheDetonation』
 N◎VA厨ですから。26シナリオ収録とかいう、狂気の同人シナリオ集『ニューロDECK』を出したし。

★3.思い入れのあるTRPG5タイトル

 システム、偏っています。
 ほかにも、『ペンドラゴン』とか『クトゥルフ』とか、好きなシステムは腐るほどあるさ。

『トーキョーN◎VA TheRevolution』
 新版のDではなく、旧版のR。当時、登場判定という概念は画期的だった。熱中して、熱く遊んだ、熱く議論した。それはまさに、僕の遅い青春。

『ブルーフォレスト物語』
 旧版。初めてのセッションにして、初めてのキャンペーン。サプリメント『ブルーフォレスト戦乱』に掲載された公式キャンペーンが、僕のTRPGライフの原点だった。

『天羅万象』
 こちらも、新版ではなく、旧版タイトルから。あらゆる意味で伝説的なセッションをいくつか体感したタイトル。あのときの、痺れるような体感がなければ、僕はいま、TRPGをプレイしていなかっただろう。当時、公式シナリオを徹底的に分析し、現在の僕のプレイスタイル、マスタリングスタイルが確立した。

『魔獣の絆』
 やっぱり旧版。現在進行形で、『魔獣の絆学園』と銘打って本格的学園ラブコメファンタジーのキャンペーンを遊んでおります。現在、三回目のキャンペーンのラスト。年明けには、四回目のキャンペーンが始まる予定(笑)。

『ブレイドオブアルカナ2nd』
 信仰告白。僕は、ブレカナ厨です。盲愛しています。だって、ブレカナぐらいですよ、ガチンコでキリスト的神の愛を語れるシステムなんて。そんな僕も、昔はブレカナが大嫌いでした。だって、できることが少ないシステムなんですもの。でも、『ランドオブザギルティ』を読んで、考え方が変わりました。そうか、これは正しく、神の下僕をプレイするゲームなんだ、と。

★4.気になる発売予定タイトル ※回答時点で未発売のタイトル

 ブレカナの三版は、いつ出るんだろう(ぼんやりと)。

★5.バトンを渡す5人

 五人にバトンタッチとなると、倍々のねずみ算よりも、あっという間に広まってしまうなあ。とか思うので、特に回しませんことよ。
[PR]

by hiduka | 2005-06-23 17:00 | TRPG全般
2005年 05月 30日

先日の続きのようなこと

[TRPG]ゲーマーとしての信頼度

http://d.hatena.ne.jp/zwei-auma/20050529
 自分も正直、やりすぎることが多いのは事実なのだが、時々、「ハシタナイ」とか「Pink」だとか、レッテル張られることを苦痛に感じることがある。例えそれが、けなしていないのだとしても、やはり、苦痛に感じることには変わりがない。ぞれはおそらく、他人もそうなのだろう。だから自分も、できうる限り、他人には「カッコイイ」「凄い」と呼びかけようと思っている。……と書くと、良いこと書いているように思えるが、結構かちんと来たり意固地になったりして、「ハシタナイ」「Pink」とか、返している自分が居たりする。それは結局、自分の幼児性に起因しているのであり、そのたびに、自己嫌悪に陥る。改めて、気を付けないと。
[PR]

by hiduka | 2005-05-30 11:16 | TRPG全般